言葉の意味や使い方と例文

【1分でわかる】畏敬の念の意味や使い方と例文!読み方や類語と言い換え表現も

あなたは「うやまう」というと、どのようなことを想像しますか?

両親や仕事ができる上司、または人生の目標としている歴史上の人物のような「人」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし、「うやまう」相手というのは人だけとは限りません。

美しい自然や建造物、外国の風習などに深く心を動かされたときにも、その対象をうやまいたい気持ちが湧き上がってくることがありますよね。

そんなときに覚えておくと便利な言葉が、

「尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ち」を表す

「畏敬の念(いけいのねん)」

という言葉です。

今回は、この「畏敬の念」という言葉の意味や使い方、類語や言い換え表現とともに、よく使われる「畏敬の念」を使った表現を例文でご紹介していきます。

ぜひ最後まで読んで、うやまいたいものに出会った時のためにこの言葉の使い方を覚えていってくださいね!

「畏敬の念」の意味は「尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ち」、読み方は「いけいのねん」

「畏敬の念」(読み: いけいのねん)とは、

尊いものや偉大な人を、おそれうやまう気持ち

を意味する言葉です。

この言葉を「畏敬(の)」+「念」に分けて、その意味をもう少し詳しく見てみましょう。

それぞれの意味は

「畏敬」

崇高なものや偉大な人を、おそれうやまうこと。

「畏敬の念を抱く」

(※崇高=けだかく尊いこと。また、そのさま)

(小学館デジタル大辞泉より)

「念」

思い。気持ち。 「感謝の念」

(小学館デジタル大辞泉より)

となっています。

そのため、2つの言葉を合わせた「畏敬の念」は、

崇高なものや偉大な人をおそれうやまう気持ち

という意味になります。

ちなみに、「おそれうやまう」という言葉を漢字にすると「畏れ敬う」です。

この「畏れ」という漢字を使う「おそれ」は、

ある対象を敬い、それにふさわしい態度をとる

という意味になり、恐怖を意味する「恐れ」とは異なります。

「畏敬の念」の使い方!基本的な使い方や人に対して使う場合の注意点も

「畏敬の念」の基本的な使い方!「人や風景などに深く感動して、敬意を払う」ときに使う☆

「畏敬の念」という言葉の使い方としては、

・誰かの行動や言葉に深く感動して、その人を心から尊敬している

・自然の風景や建造物などの物、文化や風習といったものに深く感動して、「敬意を払いたい」と感じる

といった状況を述べる場合に用います。

また、この「畏敬の念」という言葉は、対象が「人」だけではなく

・風景や建造物

・風習や「自然の摂理」といった形のないもの

など、場所や目に見えない抽象的なものに対しても使えます。

美しい景色の中や、静まり返った神社仏閣のような場所で、思わず背筋を伸ばしたくなったり、手を合わせたくなってしまうような感覚になることはありませんか?

そのような、「崇拝」に近い敬意を表すのが「畏敬の念」なのです。

「畏敬の念」の人への使い方と注意点!「近寄りがたいくらいの敬意」になるので使う場や相手に注意しよう☆

「畏敬の念」は、

「敬意を払う」という意味の言葉の中でも、最上級に近い言葉

です。

使い方によっては「わざとらしい」と捉えられることもありますので、使う相手を見極めるようにしましょう。

先ほど、どのような場面で「畏敬の念」を使うのかという話題で少し触れましたが、

「理由もなく思わず祈ってしまいたくなるほどの敬意」

というのが「畏敬の念」です。

そのため、特に「人」に対して使うときには注意が必要です。

少々極端な例ではありますが、

A: 「先輩を尊敬しています」

B: 「先輩に畏敬の念を抱いています」

というと、

Aの敬意のレベルを「先輩はすごい人です」とすれば、

Bの敬意のレベルは「先輩はなんて偉大で素晴らしいお方なんだろう!」くらいになります。

言葉を変えると、

Aの敬意のレベルは

「目上の人」に対するもの

ですが、

Bの敬意のレベル

「ちょっと近寄りがたいくらいにすごい人」

になり、歴史上の人物や、文化や経済に多大な功績を残した「偉人」と呼ばれる人に対する敬意と似ています。

このように、

身近な人に対して「畏敬の念」という言葉を使うのは、「大げさ過ぎる」と捉えられてしまうこともあります。

ですので、「畏敬の念」という言葉がその場や相手にふさわしいかどうかは一度考えてから使うべきでしょう。

「畏敬の念」の例文!よく使われる表現を意味と一緒に覚えよう☆

「畏敬の念を抱く」の例文

「畏敬の念を抱く」とは、

尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ちを持つ

という意味です。

例文1

対話を重ねるにつれ、私は彼の情熱に畏敬の念を抱くようになった。

例文2

この製品に込められた技術者たちの血の滲むような努力に、畏敬の念を抱かずにはいられない。

「畏敬の念に打たれる」の例文

「畏敬の念に打たれる」とは、

尊いものや偉大な人をおそれうやまう強い気持ちを受ける

という意味です。

例文1

聖堂に足を踏み入れたとき、畏敬の念に打たれた私は思わず手を合わせていた。

例文2

何度も見た絵なのに、毎回畏敬の念に打たれて、しばらくその場から動けなくなってしまう。

「畏敬の念を覚える」の例文

「畏敬の念を覚える」とは、

尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ちを感じる

という意味です。

例文1

彼のような素晴らしい人には、誰もが畏敬の念を覚えることだろう。

例文2

その桜の古木を見たとき、私は畏敬の念を覚えた。

「畏敬の念を払う」の例文

「畏敬の念を払う」とは、

尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ちを(その相手に)注ぐ

という意味です。

例文1

私たちは、自然に対してもっと畏敬の念を払う必要がある。

例文2

祖父は地域の伝承や風習に非常に詳しく、周囲から畏敬の念を払われてきた人物だ。

「畏敬の念を込めて」の例文

「畏敬の念を込めて」とは、

尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ちを何かに含める

という意味です。

例文1

神社で畏敬の念を込めた祈りを捧げた。

例文2

社内では畏敬の念を込めて、彼女を「鉄の女」と呼んでいる。

「畏敬の念に堪えない」の例文

「畏敬の念に堪えない」とは、

尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ちを抑えることができない

という意味です。

例文1

一般参賀で天皇陛下のお姿が目に入った瞬間から、胸が熱くなるような畏敬の念に堪えなかった。

例文2

あの若さでこれだけの仕事を成し遂げるとは、同じ職人ながら畏敬の念に堪えない。

「畏敬の念」の類語や言い換え表現をチェック☆

「畏敬の念」の類語は「尊敬の念」「敬意」など

「畏敬の念」の類語には、次のような言葉が挙げられます。

・尊敬の念

・敬意

・敬いの気持ち

なお、「尊敬」という言葉は、主に「人」を敬うときに使う言葉です。

「人」以外の、例えば景色や風習といったものには「敬意」や「敬いの気持ち」といった言葉がふさわしいでしょう。

「畏敬の念」の言い換え表現!「頭の下がる思い」「厳粛な気持ちになる」など

「畏敬の念」の言い換え表現には、次のような言葉があります。

■主に人に対して使う表現

・まったく恐れ入る

・頭の下がる思い

■主に物や自然の風景などに対して使う

・敬虔な気持ちになる

・厳粛な気持ちになる

・おそれ慎む

「畏敬の念」の言い換え表現に迷わなくなる方法!

社会人であれば、仕事とプライベートを分けるのは当たり前、と言われますね。

これは態度だけを指したものではなく、言葉遣いにも当てはまります。

しかし、どのような言葉に言い換えたらいいのか迷って

「ついつい友達に使うような言葉を使ってしまった」

…なんてことはありませんか?

また、自分では「仕事向けの言葉遣いをしている」と思っていても、周りからはそう思われていない場合もあるかもしれません。

例えば…

・OKです

・大丈夫です

・当日は都合がつきません

というような言い方をしている方は、仕事向けの言葉遣いを見直してみる必要があるかもしれません。

そんなときにおすすめなのが、

『大人の語彙力ノート 誰からも「できる! 」と思われる』

という本です。

著者は『声に出して読みたい日本語』など、日本語に関する書籍を多数出版している齋藤孝氏です。

この本では、

「普段遣いの言葉での表現を、より洗練されたものに言い換えるための具体例と解説」

が書かれています。

それぞれの言葉は、

・改まった場で使える言葉

・上品な印象を与える言葉

・仕事の場で使える言葉

・相手に配慮した言い回し

・同じ言葉の繰り返しを避けるためのテクニック

といった内容ごとに分けられているので、その時に知りたいものを集中して読むのもいいですし、教養として最初からきちんと読むのもいいでしょう。

どの言い換え表現にも、解説だけでなく数パターンの言い換えが載っているので、全て読み終えたときには仕事でも、プライベートでも、語彙力がアップすることでしょう。

一度、きちんとした言葉遣いを勉強したいと思っている方は、ぜひ読んでみてくださいね。

【1分でわかる!】畏敬の念の意味や使い方と例文、また、読み方や類語と言い換え表現のまとめ

それでは、今回ご紹介した「畏敬の念」のポイントを復習しておきましょう。

【読み方】

いけいのねん

【意味】

尊いものや偉大な人をおそれうやまう気持ち

【類語】

・尊敬の念

・敬意

【言い換え表現】

・頭の下がる思い

・厳粛な気持ちになる

【使い方】

・誰かの行動や言葉に深く感動して、その人を心から尊敬している

・自然の風景や建造物などの物、文化や風習といったものに深く感動して、「敬意を払いたい」と感じる

といった状況を述べる

※人に対して使うときには、大げさ過ぎると取られることもあるので注意

【例文】

例文1

対話を重ねるにつれ、私は彼の情熱に畏敬の念を抱くようになった。

例文2

私たちは、自然に対してもっと畏敬の念を払う必要がある。

素晴らしいものや人に敬意を払いたいと感じたときには、ぜひ今回の記事を参考にして「畏敬の念」という言葉を使ってみてくださいね。

【今回ご紹介した本はコチラ!】↓

大人の語彙力ノート 誰からも「できる! 」と思われる

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