ビジネスの場においては、相手に言いにくいことを言わなければならないことがありますよね。
例えば、
・相手の心ない言動や行動に抗議したい時、
・予想外のアクシデントについて何が起こったのかを説明したい時、
「こんな時どうやって伝えればいいのか、とっさに言葉が出てこない!」
と悩んでしまったことはありませんか?
そんな時のために覚えておきたいのが、
「期待通りにならなくて残念だ」という意味の「遺憾の意」
という言葉です。
もしかすると、ニュースなどで「遺憾の意を表明するとともに…」という言い方を聞いたことがあるかもしれませんね。
今回は、この「遺憾の意」という言葉の意味や使い方、類語といった基本的な情報とともに、
・「遺憾の意」が表す抗議はどのくらいのレベルなの?
・「遺憾の意」は謝罪するときにも使える?
といった疑問にもお答えしていきます。
ぜひ最後まで読んで、ビジネスの場で言いにくいこともスムーズに伝えられるようになりましょう!
目次
「遺憾の意」とは「物事が期待通りにならなくて残念だ」という意味!
「遺憾の意(読み:いかんのい)」とは、
物事が期待通りにならなくて残念だ
という意味です。
「遺憾」という言葉を辞書で見てみると、次のようになっています。
期待したようにならず、心残りであること。残念に思うこと。また、そのさま。
「遺憾の意を表する」「万遺憾なきを期する」(小学館 デジタル大辞泉)
同様に、「意」という言葉は
心に思うこと。気持ち。考え。意見。 「遺憾の意を表す」
(小学館 デジタル大辞泉)
という意味ですので、合わせると
物事が期待通りにならなくて残念(だと思っています)
ということになります。
また、「残念」という言葉の意味は「物足りない」「悔しい」「諦めきれない」などです。
そのため、この言葉の意味は場合によって違ってくることがあります。
それについては次の章で詳しく説明しますね。
「遺憾の意」の使い方
「遺憾の意」の使い方のコツ!使われるのは「思っていたのとは違う」時
「遺憾の意」が使われるのは、基本的には「こちらが思っていたこととは違う」という場合です。
ですので、
・予想外のアクシデント
・ある物事に対しての相手の言葉や対応
といったことで、
「こちらの予定や想定がはじめと違ってしまって残念だ・困っている」
といった時に使います。
「遺憾の意」は「残念」ではなく「非難」や「想定外でどうにもできない」を表す場合に使うこともある
「遺憾の意」という言葉は、さらに次のような時に使われます。
1、誰かに対して言動や行いを非難する時
2、事件や事故といったトラブルの釈明をする時
これらは、政治の場面においてよく見られる使い方です。
よく、ニュースなどで
「強い遺憾の意を表明するとともに~」
「誠に遺憾であります」
と聞いたことはありませんか?
こういった場合、意味合いとしては「こちらが思っていたのとは違って残念だ」というより、
1、こちらが考えていたことを遥かに超えていて、認めることはできない
2、こちらが考えていたことを遥かに超えていて、どうしようもなかった
というニュアンスになります。
「遺憾の意」を使うのはどのレベルの非難?
「遺憾の意」を使って非難する場合、その非難する気持ちのレベルは中~強くらいになります。
なお、レベルの基準として参考にしたのは、「遺憾の意」という言葉をよく使う外交の場面です。
というのも、日本は外交において抗議・非難したいことがあると、その強さに応じて言葉を変えているのです。
ちなみに、大まかには抗議・非難のレベルに応じて、次のような言葉が使われるとされています。
【レベル弱】
・懸念する
・憂慮する
【レベル中】
・遺憾だ
【レベル強】
・非難する
ただし、「遺憾だ」という言葉は、次のような形でかなり強いレベルの非難を表現することもあります。
・遺憾の意を示す
・極めて遺憾だ
・強い遺憾の意を示す
・真に遺憾である
「遺憾の意を表明」「遺憾の意を表する」「遺憾の意を示す」「遺憾の意を表します」などの使い方の形を覚えよう
「遺憾の意」という言葉は、「遺憾の意を○○する」という形で、さまざまな言葉を伴って使われます。
よく使われるのは、次の言い方です。
・遺憾の意を表明する
=遺憾の意をはっきりと表して示す
・遺憾の意を示す
=遺憾の意が相手に伝わるように表してみせる
・遺憾の意を表する
・遺憾の意を表します
=遺憾の意を態度や言葉に表す
意味を見ると、それぞれ少しずつニュアンスが違うのがわかりますか?
この中では「遺憾の意を表明する」が最もはっきりと「遺憾である」と表していて、下に行くほどソフトな表現に変わっています。
また、先ほどの『「遺憾の意」を使うのはどのレベルの非難?』の復習になりますが、
・極めて遺憾だ
・強い遺憾の意を示す
・真に遺憾である
というように、「遺憾」の前に「強い」「極めて」「真に」などをつけることで、気持ちをより強調して伝えることができます。
「遺憾の意」の類語は「残念」「悔しい」「心残り」など
「遺憾の意」の類語には、「遺憾」の類語である
・残念
・無念
・悔しい
・心残り
・口惜しい
といった言葉があります。
ただし、これらの言葉には非難や抗議といった意味はありません。
「遺憾の意」と謝罪の違い
「遺憾の意」は「残念だ」という気持ちで、謝罪ではない
「遺憾の意」と謝罪の違いは、自分が相手に伝えたい気持ちにあります。
それぞれの言葉の意味を比べてみると、
「遺憾の意」=物事が思い通りにならずに残念だという気持ちを表す
謝罪=罪や過ちをわびる気持ちを表す
となり、示している気持ちが異なるのです。
例えば、
「このような事故が発生してしまったことを心よりお詫びいたします」
というのは謝罪ですが、
「このような事故が発生してしまったことは真に遺憾であります」
というと、「想定外のことであり、とても残念だ(または、どうしようもできなかった)」という意味になります。
ですので、使うべき場面を間違えないようにしましょう。
謝罪をスムーズに行うコツとは?
謝罪をはじめとして、間違いを指摘したり、意見に反論したりと、相手に「ちょっと言いづらいこと」を言わなければならない場面というのがありますよね。
特に、ビジネスの場においては上司や先輩、お客様を前にして、
「どうしたら怒らせないで伝えることができるの?」
「こんな時にはどんな返事をすればいいの?」
と困ってしまうこともあるでしょう。
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どの章も、たくさんの言葉が丁寧な解説とともに紹介されているのが特徴です。
単に、言葉の知識を増やす読み物としても面白いですが、「こんな時にはどんな言い方があるのかな?」と辞書のように使うのがおすすめです。
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「遺憾の意」の使い方を例文で確認しよう
「遺憾の意」を使った例文には、次のようなものがあります。
例文①
先日の雑誌記事の内容は当社の商品イメージを傷つけるものであるとして、社長は出版社に対し遺憾の意を表明した。
例文②
今回、このような事態を未然に防ぐことができなかったのは真に遺憾であります。
例文③
一部のお客様の度重なるルール違反には遺憾の意を表しますとともに、改めて当店が定めているルールを守っていただきたいと思います。
例文④
今回の事件について、大臣は記者のインタビューに対して改めて遺憾の意を示した。
【1分でわかる!】遺憾の意(を表明)の意味や使い方と例文、また、類語や謝罪との違いについてのまとめ
いかがでしたか。
「遺憾の意(を表明)」(読み:いかんのい(をひょうめい))とは、
【意味】
「物事が期待通りにならなくて残念だ」
※使われる状況によっては次の2つの意味合いになることも
1、非難
(こちらが考えていたことを遥かに超えていて、認めることはできない)
2、釈明
(こちらが考えていたことを遥かに超えていて、どうしようもなかった)
【使い方】
基本形は「遺憾の意を表明する」
・「表明する」の部分は「示す」「表す」といった言葉に変えることもできる
・「遺憾」の前に「強い」をつけると強調の意味になる
【類語】
・残念だ
・悔しい
・心残り
という言葉です。
そして、あくまでも「思い通りにならず残念だ」という意味であり、
「遺憾の意」には謝罪の意味は含まれていない
ということに注意しましょう。
ぜひ今回の記事を参考にして、自分の気持ちをスムーズに伝えてみてくださいね。
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