言葉の意味や使い方と例文

【1分でわかる】適宜(対応)の意味と適時や随時や適切との違い!使い方や例文も|ビジネスマナー

ビジネスにおいては、「いつまでに対処します」「このように対応してください」と期日や方法をはっきりと伝えることが大切だとされています。

というのも、期日や方法をはっきり伝えた方が誤解が少なくて、相手とトラブルになりにくいからです。

しかし、はっきりと言えない時というのもやはり存在しますよね。

「この件は状況を見ながらじゃないと進められない…」

「ある程度相手の判断に任せてやってほしい…」

そんな時に便利な言葉が「適宜」(てきぎ)です。

「状況に合わせて」という意味のこの言葉の使い方を覚えれば、

・はっきり言えない時

・状況に合わせてうまくやっておいてほしい時

に、自分の意思をきちんと伝えることができるようになりますよ。

それでは、この「適宜」の意味や使い方、例文をさっそく解説していきましょう。

合わせて、「適宜」と似ている「適時」「随時」「適切」との違いも解説しますので、最後まで読んでくださいね!

「適宜」の意味は「状況に合っている」「状況に応じて各自で判断する」、読み方は「てきぎ」!

適宜の意味や読み方

「適宜」という言葉は「てきぎ」と読みます。

そして、「適宜」という言葉の意味

・状況に合っている

・その時の状況に応じて各自で判断する

ということになります。

詳しい意味を辞書で調べてみると、このように書かれています。

1 状況によく合っていること。また、そのさま。適当。 「適宜な(の)処理」「成績不振者に適宜個人指導をする」

2 便宜に従うこと。その時々に応じて、各自の判断で行動するさま。「適宜に席に着く」「見学後適宜解散とする」

(小学館 デジタル大辞泉)

ちなみに、2の意味の「便宜」(べんぎ)とは、ここでは「その時に適した方法」といった意味です。

言い換えると、

1: その場の状況に合わせて何かをする時

2: 自分の都合に合わせて何かをする時

に適宜という言葉が使われるということですね。

「適宜」に似ている「適時」「随時」「適切」との違い

適宜と適時や随時や適切との違い

「適時」「随時」と「適宜」の違い

「適時」(てきじ)や「随時」(ずいじ)も「適宜」と似た言葉ですが、次のような違いがあります。

「適時」=適切なタイミングで何かをする

「随時」=いつでも、好きな時に何かをする

「適宜」=その状況に合っている行動をする

という違いがあります。

「適時」と「随時」の意味を辞書で見てみると、次のようになっています。

「適時」

ちょうどよい時。 「適時に席を立つ」(小学館 デジタル大辞泉)

「随時」

1 適宜な時に行うさま。その時々。 「随時巡回する」

2 日時に制限のないさま。好きな時にいつでも。 「随時入院することができる」

(小学館 デジタル大辞泉)

違いを整理しますと、

「適時」は物事を行うのにちょうどよい時、頃合いを表し、

「随時」は物事を行うのにふさわしい時や、好きな時にいつでも行うということを表します。

例えば、次の2つの文を比べてみましょう。

1: 再来月にパートさんが二人も辞めてしまうので、人手が足りなくなる前に適時パートの募集をかけよう。

2: 業務拡大に伴って慢性的な人手不足なので、当店ではアルバイトを随時募集しています。

1では「人が足りなくなる前のタイミングで募集をしよう」という意味になりますが、

2では「常に人が足りないのでいつでも募集しています」という意味になるという違いがあります。

「適切」は「適宜」の類語!その他に「適当」も、使い分けは?

「適切」(てきせつ)は「適宜」の類語で、その他には「適当」(てきとう)があります。

しかし、これらの言葉は

「ある条件、事情、要求などによく当てはまること」

(小学館 類語例解辞典)

という共通の意味はありますが、全く同じというわけではないので注意しましょう。

詳しく説明しますと、

「適切」

その場にぴったり当てはまる表現や行為、方法を表します。

「適当」

その場にふさわしい表現や行為、方法を表しますが、適切ほどはぴったり当てはまるというわけではありません。

また、「あとでフォローするから適当にやっておいて」といったように、「いいかげん」という意味も持っています。

「適宜」

その場に当てはまる表現や行為、方法を表すほかに、その場に応じて自分で判断するといった意味を持っています。

このように、

「状況に合わせて自分で判断する」という意味を持っているのは「適宜」のみ

ですので、注意しましょう。

「適宜」の使い方!ビジネスで目上の人に使える?

適宜の目上などへの使い方

「適宜」を使うのは「その場に合わせて何かをする」または「自分の都合に合わせて何かする」時!

「適宜」という言葉が使われるのは、

1: その場の状況に合わせて何かをする時

2: 自分の都合に合わせて何かをする時

の2つのパターンがあります。

それでは、次のような例文で考えてみましょう。

A: お客様がお見えになったら、その時は対応してください。

B: 手が空いた人からお昼休憩に入ってください。

Aは「来客がある」という状況に対して行動し、

Bは「(自分の)手が空く」という都合に合わせて行動していますね。

ですので、Aは1の意味、Bは2の意味となり、

A: 手が空いた人から適宜お昼休憩に入ってください。

B: お客様がお見えになったら、適宜対応してください。

という文章にすることができます。

「適宜」+「対応」もよくあるパターン!「適宜◯◯」は「状況に合わせて◯◯」すること!

ビジネスでは「その件に関しましては適宜対応いたします」というような「適宜対応」という言葉もよく聞かれます。

「適宜対応」と言われたら、

「その時の状況に合わせて対処する」

といった意味になります。

復習になりますが、「適宜」というのは

「その場の状況に合わせて何かをする」

「自分の都合に合わせて何かをする」

という意味でしたね。

そのため、最初の「その件に関しましては適宜対応いたします」というのは、「その案件については状況に合わせて対処していきます」という意味になります。

もっとくだけた言い方に直してしまうならば、

「ケースバイケースで」

「様子を見ながら」

といったところです。

もし、上司に「その件は適宜対応しておいてくれ」と言われたら、それは「状況を見て、それに合わせてうまくやっておいてね」ということだと思っていいでしょう。

ぜひ、はっきりと「対処する」とは言えないような、少々曖昧な状況のときに使ってみたい表現ですね。

「適宜」は目上の人に使えない!

「適宜」を目上の人に対して使う時には、

・目上の人に対して「適宜◯◯してほしい」とは使わない

・基本的には自分が「適宜◯◯します」という場面で使う

ということに注意しましょう。

「適宜」というのは「状況に合っている」「状況に応じて各自で判断する」ということでしたね。

すると、目上の人に「適宜対応してください」と言った場合、「ご自分の判断で対応してください」という意味になってしまいます。

ですので、目上の人に対しては「適宜◯◯してください」というのは使わないように注意しましょう。

なお、自分が「適宜◯◯します」というのはOKですが、ビジネスでは具体的にどうするのかを報告する方が良い場合もあります。

なので、くれぐれも、「適宜」の使いすぎには注意してくださいね。

「適宜」を使った例文をチェック!

「適宜」の例文には次のようなものがあります。

例文①

手が空いた人から適宜お昼休憩に入ってください。

例文②

お客様がお見えになったら、適宜対応してください。

例文③

今回のマーケティング調査の結果を受けて、販売計画を適宜見直す必要がある。

例文④

追加の注文がありましたら、適宜ご連絡いただけますと幸いです。

例文⑤

今回のトラブルに対して、後輩の適宜な対応は見事としか言いようがなかった。

【1分でわかる!】「適宜」の意味と適時や随時や適切との違い、また、使い方や例文のまとめ

いかがでしたか。

「適宜」(てきぎ)とは、

・その状況に合っている行動

・状況に合わせて自分の都合で行動すること

を意味しています。

なお、「適宜対応」「適宜処理」といった「適宜◯◯」という形もよく見られますが、この場合には

「適宜◯◯」=「状況をみて◯◯する」

という意味合いで、

例文①

お客様がお見えになったら、適宜対応してください。

例文②

追加の注文がありましたら、適宜ご連絡いただけますと幸いです。

のような形で使われることがほとんどです。

また、似ている言葉に「適時」「随時」「適切」がありますが、それぞれ

「適時」=適切なタイミングで何かをする

「随時」=いつでも、好きな時に何かをする

「適切」=その場にぴったり当てはまる表現や行為、方法

という意味の違いがあります。

中でも、「適切」は「適宜」の類語に当たりますが、「適宜」のような「状況に合わせて自分の都合で行動する」といった意味はないので違いに注意しましょう。

では、今回の記事を参考にして、正しく伝わる文章を適宜作成できるように、これからも文章力を磨いてくださいね!

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