皆さんは、「断りたいけど断れない」という状況になってしまったことはありますか?
例えば、いつも休みのたびに微妙なお土産をくれる上司、毎月食べきれないほどの野菜を送ってくれる義実家など……
誰でも、思い当たる節があるのではないでしょうか。
このような場合、
「断ってしまいたいけれど、面と向かって「いりません」「結構です」というのも角が立ちそうだし…」
と悩んでしまいますよね。
そんな時には、
「あれこれ気を使わないでください」という意味の
「お気遣いなく」
という言葉が便利ですよ。
この言葉の使い方を覚えておくと、相手を気遣うだけではなく、相手に気を使わせないようにするという少し大人のコミュニケーションができるようになります。
今回は、この「お気遣いなく」という言葉について、意味や使い方、敬語表現や類語表現をご紹介するとともに、すぐにマネできる例文もご用意しました。
ぜひ最後まで読んで、使い方をマスターしてくださいね!
目次
「お気遣いなく」の意味は「あれこれ気を使わないでください」「心配しないでください」
「お気遣いなく」とは、
・あれこれ気を使わないでください
・心配しないでください
という意味です。
「気遣い」という言葉の意味を辞書で見てみると、
あれこれと気をつかうこと。心づかい。 「どうぞお気遣いなく」
(小学館デジタル大辞泉より)
となっています。
そして、「お気遣いなく」の「お」と「なく」は
「お」…相手に対する敬意を表す丁寧語
「なく」…否定を表す形容詞
です。
そのため、「お気遣いなく」という言葉は
・あれこれ気を使わないでください
・心配しないでください
という、やんわりと相手からの気遣いを遠慮する意味になります。
「お気遣いなく」の使い方まとめ!お礼を断る場合やビジネスメールも
お気遣いなく」の使い方①お礼を断りたい場合の注意点も
「お気遣いなく」という言葉の基本的な使い方は、
誰かからのお礼や心づかいに対して、
「そのような心配はしないでください」
「ご遠慮させてください」
「そのようなことをさせてしまって申し訳ない」
という気持ちとともに、
「断りたい」ということをやんわりと伝えること
です。
ただし、「はっきり断る」という表現ではないため、
相手から「ただ遠慮しているだけ」だと取られる
という場合もあります。
例えば、訪問先でお茶やお菓子を出していただいた時に「お気遣いなく」というのはお決まりの表現ですが、それでお茶やお菓子を下げる人はいませんよね。
これは、お客に対してお茶も出さないのは失礼だからというのもありますが、ここでの「お気遣いなく」という言葉が
「このような気遣いをしてもらって申し訳ありません」
という意味に取られているからです。
なので、「お気遣いなく」という言葉に「断る」という使い方はありますが、相手がそのような意味だとは思わない場合があるので注意しましょう。
「お気遣いなく」の使い方②ビジネスメールで「どうかお気遣いなさらないようお願いいたします」など返信不要の場合も
「お気遣いなく」のビジネスメールでの使い方は、
1:基本の使い方と同じく、相手からの気遣いに対して「心配しないでください」と伝える
2:「返信はどうぞお気遣いなさらないでください」といった形で、「返信不要」を伝える
です。
1:基本の使い方と同じく、相手からの気遣いに対して「心配しないでください」と伝える場合
「1」の相手からの気遣いに対して「心配しないでください」と伝える場合ですが、
・相手から何かをいただいた際のお礼のメール
・病気や、やむを得ない事情によって仕事を休んだ後のメール
に対して、
「先日は素敵なお土産をありがとうございました。どうぞお気遣いなさらないようお願い申し上げます」
「この度は入院のためしばらくお休みをいただき、申し訳ありませんでした。現在は順調に回復しておりますので、どうぞお気遣いなさらないようお願いいたします」
といった内容で、
「気を使っていただかなくて結構ですよ」
「心配しなくても大丈夫ですよ」
という気持ちを伝えることができます。
2:「返信はどうぞお気遣いなさらないでください」といった形で、「返信不要」を伝える
そして、「2」の「返信はどうぞお気遣いなさらないでください」といった形で、「返信不要」を伝える場合では、
内容だけ読んでほしいメール(報告などの、相手の返事を必要としないメール)
において、
「ご確認いただけましたら返信はお気遣いなさらないでください」
「また近いうちにこちらからご連絡いたしますので、返信はどうぞお気遣いなさらなようお願いいたします」
といった文を添えることで、「返信は不要です」ということを丁寧に伝えることができます。
「お気遣いなく」の使い方③プレゼントやお土産に対して「次からは結構です」と意思表示する場合
プレゼントやお土産を受け取った時に、「お気遣いなく」を使う場合には、
「次からは結構です」
という、辞退の意思表示である場合が多いです。
ただし、
「気を遣わせてしまって申し訳ありません」という遠慮の意味の場合もある
ので、相手の表情を見て判断したほうがいいでしょう。
何度も「お気遣いなく」「本当にお気遣いなさらないでください」と相手から告げられるようであれば、贈り物をすることを考え直してみることをおすすめします。
ご祝儀やお祝いの品は「お気遣いなく」と言われても受け取る・お返しをするべき
ご祝儀やお祝いの品などを贈る時の一般的なマナーとしては
・お祝い事があった当事者から「お気遣いなく」と言われてもお祝いはするべき
・「お気遣いなく」と周囲に告げていても、お祝いをもらったならばお返しをするべき
・「お返しはお気遣いなく」と言われても、お祝いをもらったならばお返しをするべき
です。
「お返しを考えなければならない」という点から、お祝いやお見舞いを受け取るのを面倒だと感じる人も多いのも事実です。
そのため、なるべく相手が負担に感じない程度のささやかなものにするなど、贈る側が配慮することが大切だと言えるでしょう。
「お気遣いなく」の使い方④家族葬で「お気遣いなく」と言われたら弔問などは控えるようにしよう
葬儀の際に、「家族葬で行いますのでお気遣いなく」という連絡をもらった場合には、
「通常の葬儀のようなやりとりはお断りさせてください」
という意味になります。
なので、
・葬儀への参列や弔問は控える
・お香典なども辞退する旨が伝えられていればそれも控える
ようにしましょう。
家族葬とは、
家族や親族、親しい友人などの故人と身近な人たちだけでごく小規模に行う葬儀のこと
で、近年よく行われています。
そのため、「家族葬にしますのでどうぞお気遣いなく」という連絡を受けた時には、
「親しい者だけで葬儀を行いますので、お香典などのお気遣いはお断りさせてください」という意味
なので、弔問やお香典などは控えるのがマナーです。
「お気遣いなく」を使った例文をチェック!
「お気遣いなく」を使った例文をいくつかご紹介します。
例文1
すぐに帰らなければならないので、どうかお気遣いなく。
例文2
わざわざご連絡いただきましてありがとうございます。どうかお気遣いなくお願いいたします。
例文3
この度は故人の遺志により、家族葬にて葬儀を執り行うことと致しましたので、どうぞお気遣いなくお願いいたします。
例文4
追って詳細をご連絡いたしますので、ご返信はどうぞお気遣いなさらないようお願いいたします。
例文5
ご返事はお気遣いなさらないようお願いいたします。
例文6
私は途中で退席させていただきますが、どうぞお気遣いなく最後までお楽しみください。
「お気遣いなく」の敬語表現!目上の人に使う時の注意点も
「お気遣いなく」の敬語表現!目上の人に失礼のない丁寧な言い方は「お気遣いなくお願いいたします」など
「お気遣いなく」という表現だけだと、目上の人に対しては失礼にあたります。
そのため、次のような表現を使うことをおすすめします。
・お気遣いなくお願いいたします
・お気遣いなさらないでください
・お気遣いなどなさいませんようお願い申し上げます
・お気遣いなく、○○なさってください
(例:今日の送別会は少し遅れてしまいますが、どうぞお気遣いなく、先に始めていてください)
目上の人に対するマナーに困ったときの対処法とは
さて、社会人であれば目上の人に対して、きちんとしたマナーで接することが大切ですよね。
逆に自分が目上の場合なら、相手のマナーが多少おかしくても「お気遣いなく」と許すこともできます。
しかし、自分が相手に礼儀を尽くさなければならない場合にはそうはいかないと思ったほうがいいでしょう。
ただ、目上の人に対してのきちんとしたマナーと言われても、
「どのような場面で、どのようなことに気を遣えばいいのか、よくわからない…」
という方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたにオススメしたいのが、
『入社1年目ビジネスマナーの教科書』
という本です。
タイトルの通り、新入社員向けにビジネスマナーを解説した本なのですが、実際は社会人何年目であっても使える本なんです。
この『入社1年目ビジネスマナーの教科書』には
・身だしなみ
・挨拶
・言葉遣い
・仕事においての報告・連絡・相談
といった基本的な内容が書かれていますが、それだけではなく
・乗り物などの席次
・会食
・冠婚葬祭
など普段の業務では登場することが少ないマナーについても、しっかりと説明されているのが特徴です。
敬語や挨拶、メールやビジネス文書の書き方など、日常的なマナーを覚えるのはそれほど大変ではありませんが、会食や冠婚葬祭となるとそれほど経験する機会は少ないですよね。
ですが、そこでも「初めてなのでマナーはよくわかりません」と言えないのが社会人の辛いところです。
そして、そんな時にこそ役立ってくれるのがこの『入社1年目ビジネスマナーの教科書』なのです。
「あれ?こんな時にはどうしたらいいんだろう?」
と迷った時に読めば、すぐにマナーを確認することができるので、どのような場面でもきちんとしたマナーで臨むことができます。
マナーについて少しでも不安があるという方は、ぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか。
「お気遣いなく」の類語や言い換え表現をチェック!
「お気遣いなく」の類語・言い換え表現には次のようなものがあります。
・結構です
・お構いなく
・お気になさらず
・お気持ちだけいただきます
・大丈夫です
【1分でわかる!】お気遣いなくの意味や使い方と例文、また、目上への敬語表現や類語のまとめ
それでは、おしまいに「お気遣いなく」の大切なポイントをおさらいしておきましょう。
【意味】
・あれこれ気を使わないでください
・心配しないでください
【使い方】
・お礼や贈り物などを断りたいときに、相手に口頭やメールなどで伝える
・メールでは「返信不要」の意思を伝えることもある
・家族葬で香典や葬儀への参列を控えてほしいときに使うこともある
使い方の注意点
※相手に「ただ遠慮しているだけ」と受け取られてしまう場合もある
※お祝いへのお返しなど、「お気遣いなく」という言葉があっても礼儀として贈り物をしなければならない場合がある
【例文】
例文1
今日の送別会は少し遅れてしまいますが、どうぞお気遣いなく、先に始めていてください。
例文2
すぐに帰らなければならないので、どうかお気遣いなく。
例文3
この度は故人の遺志により、家族葬にて葬儀を執り行うことと致しましたので、どうぞお気遣いなくお願いいたします。
例文4
追って詳細をご連絡いたしますので、ご返信はどうぞお気遣いなさらないようお願いいたします。
【敬語表現】
・お気遣いなくお願いいたします
・お気遣いなさらないでください
・お気遣いなどなさいませんようお願い申し上げます
・お気遣いなく、○○なさってください
【類語】
・結構です
・お構いなく
・お気になさらず
・お気持ちだけいただきます
・大丈夫です
大人であれば、「相手を思いやる」だけではなく、「相手に気を使わせないようにする」ということも大切です。
ぜひ、今回の記事を参考にして「お気遣いなく」という言葉を積極的に使って、大人のコミュニケーションに役立ててみてくださいね!
【今回ご紹介した本はコチラ!】↓
『入社1年目ビジネスマナーの教科書』
(金森たかこ 著 ・ 西出ひろ子 監修 /プレジデント社)
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