先輩や上司から頼まれごとをされるというのは、ビジネスの場においては珍しくありません。
そして、今後の職場内での円滑なコミュニケーションのために、そういった頼まれごとはできる限り快く引き受けたいものです。
そんな時に、「任せてください」「楽勝です」「そんなの余裕です」と答えたくなってしまいますが、ちょっとこれでは友達同士での言葉づかいと変わりませんよね。
ここは、社会人として
「それは簡単な用事ですよ」という意味の「お安い御用(ですよ)」
という表現を使ってみましょう。
少々使い方に注意が必要ですが、上手に使えば場の空気を和らげたり、相手に好印象を与えたりできる言葉です。
今回は、この「お安い御用(ですよ)」の意味やビジネスの場での使い方、ぜひ一緒に覚えておきたい類語表現をご紹介していきます。
ぜひ最後まで読んで、先輩や上司に頼られる存在を目指してみてください!
目次
「お安い御用(です)」の意味は「簡単な用事です」
「お安い御用(です)」とは、
簡単な用事です
という意味です。
詳しく説明しますと、この言葉は
「簡単だ、容易だ」という意味の「お安い」と、
「ある人を敬って用事や入用などを丁寧に言う言葉」である「御用」
が合わさってできています。
そのため、「お安い御用です」というのは、
「簡単な用事です」
という意味になるわけです。
「お安い御用(ですよ)」の使い方!ビジネスの場合も
「お安い御用」の正しい使い方!誰かに用事を頼まれた時に、相手の申し訳ないという気持ちを和らげるために使う
「お安い御用です」という言葉は、基本的に
誰かに用事を頼まれた時に、相手の恐縮を和らげるため
に使います。
先ほど、「お安い御用」の意味を「簡単な用事」だとお話ししましたね。
これだと、「誰かに用事を頼まれた」という意味が入っていないように思えますが、「御用」という言葉には、
「ある人を敬って用事や入用などを丁寧に言う言葉」
という意味がありました。
つまり、その用事を頼んだ相手に対しての敬意として「御用」という言葉を使っているのです。
そして、「お安い御用」は、相手からの「面倒な用事を頼んでしまって申し訳ない」という気持ちをくんで、
「面倒ではありません、簡単な用事ですよ。(だから、申し訳ないとは思わないでください)」
という意味合いで、相手の「申し訳ない」という気持ちを和らげるために使います。
「お安い御用」のこんな間違った使い方に注意!正しい言い換え方も覚えよう
「お安い御用」というのは、相手がいる事柄に対して使うので、次のような間違った使い方には注意しましょう。
最新の画像加工ソフトでこのような写真を作るのはお安い御用です。
この文では、単に「簡単なことだ」という意味で「お安い御用」を使っていますが、頼んだ相手がいないのに「お安い御用」という表現を使うのは正しいとは言えません。
そのため、単に「簡単なことだ」と言いたい場合には、この文であれば
・~このような写真を作るのは簡単です。
・~このような写真を作るのは容易なことです。
・~このような写真は容易に作成できます。
といった表現に置き換えましょう。
「お安い御用(です)」のビジネスでの正しい使い方!使うときには「お安い御用ですよ」と言える相手なのかを見極めよう☆
ビジネスにおいて「お安い御用」という言葉を使う時には、次のことに注意しましょう。
・「お安い御用」とは、「くだけた雰囲気がある」と捉えられる言葉である
・そのため、相手によっては「ふざけている」「失礼だ」という印象を与えることがある
・「お安い御用」という言葉を使っても大丈夫な相手なのかを見極める必要がある
詳しく説明しますと、ビジネスの場で「お安い御用」を使う状況というのは
・誰かに用事を頼まれたとき
・(頼まれた用事は私にとって簡単なことなので)用事を頼んでしまって申し訳ないとは思わないでくださいねという気持ちを伝えたいとき
です。
ただし、「お安い御用です」という言葉は、少々くだけた雰囲気の言葉だと捉えられることがあります。
そのため、取引先などはもちろんのこと、上司であっても、相手によっては「ふざけている」「失礼だ」という印象を与えてしまう可能性があるのです。
ですので、「お安い御用です」という言葉は、気心の知れた上司や先輩のみに使うようにしましょう。
「お安い御用」を使った例文
「お安い御用」を使った例文には次のようなものがあります。
例文①
その程度の修正ならば、お安い御用ですよ。
例文②
後輩にお遣いを頼むと、お安い御用だと引き受けてくれてくれた。
例文③
お安い御用ですと部長から渡された案件を引き継いだが、あの顧客は一筋縄ではいかないようだ。
例文④
お安い御用です、どうぞお任せください。
「お安い御用」の類語・対義語・同義語
「お安い御用」の類語は「朝飯前」「造作もない」など
「お安い御用」の類語には、次のような言葉があります。
・朝飯前
・お茶の子さいさい
・造作もない
・簡単
・余裕
「お安い御用」の対義語は「ご容赦ください」「遠慮させていただきます」など
「お安い御用」の対義語のように使える、頼まれたことを断るときの表現を集めました。
・ご容赦ください
・そのような大役、私には荷が重すぎます
・不本意ではございますが…
・遠慮させていただきます
「お安い御用」の同義語は「お手の物」「楽勝」など
「お安い御用」の同義語には次のような言葉があります。
・難しくない
・お手の物
・楽勝
・楽々
・赤子の手をひねるようなもの
「お安い御用」と「容易い御用」は同じ意味!でも「人からの依頼」には「お安い御用」を使うのが無難
「お安い御用」と同じような意味で「容易い御用」(たやすいごよう)という表現がありますが、あまり一般的だとは言えません。
そのため、ビジネスの場においては、できれば使うのを避けたほうがよいでしょう。
詳しく説明しますと、
「容易い」という言葉の意味は、辞書では
「わけなくできるさま。容易である。やさしい。」
(小学館デジタル大辞泉)
となっています。
そして、この「容易い」という言葉の古い言い方が「やすい(安い・易い)」という言葉なのです。
そのため、「容易い」と「お安い」はもともと同じ言葉であり、「容易い御用」も「お安い御用」も同じ言葉だと考えることができます。
しかし、「容易い御用」は書籍で使用された例が極端に少ない言葉です。
また、辞書で「容易い」を調べても「容易い御用」という用法は出てきません。
その他にも、現在はSNSなどにおいて「容易い御用」を人からの依頼は関係なく、単に「私にとっては簡単なことだ」という意味で使っている場合が多いようです。
ですので、人からの頼まれごとに対して「簡単な用事ですよ」と答えるのは、「お安い御用」を使っておくのが無難でしょう。
「お安い御用」は敬語?
「お安い御用」は目上の人にも使える丁寧な言い方
「お安い御用」は目上の人に使っても問題のない表現です。
しかし、あまり親しくない間柄の人に対しては、別の表現に置き換えましょう。
「お安い御用」という言葉の成り立ちを復習しますと、
「簡単だ、容易だ」という意味の「お安い」に、
「ある人を敬って用事や入用などを丁寧に言う言葉」である「御用」
が合わさってできている言葉
ということでしたね。
そのため、「お安い御用」を目上の人に対して使っても問題ありません。
しかし、使い方の説明でも少し触れましたが、
あまり親しくない相手に「お安い御用」を使うのは、相手に良くない印象を与えることがある
ため、気心の知れた上司や先輩に使うのが無難です。
次では、「お安い御用」を他の言葉に置き換える場合の具体例をご紹介しましょう。
上司に使うべき「お安い御用です」を言い換えた敬語表現は「かしこまりました」「承りました」「全く問題ありません」
誰かの頼みを受けるときの、「お安い御用」よりもかしこまった印象の表現には次のようなものがあります。
・かしこまりました
・承りました
・全く問題ありません
この他に、
・私で良ければやらせていただきます
・私にやらせてください
といった表現も使えますよ。
敬語表現に強くなる方法とは?
敬語表現はビジネスの場以外でも必要になりますし、大人として必ず身に付けておきたい知識ですよね。
しかし、敬語というものに苦手意識があるという人も多いのではないでしょうか。
・いつも「なんとなく」で敬語を使っているので、実は間違った敬語を使っているのかもしれない…
・以前、周りから「その敬語はおかしい」と言われて以来、敬語を使うのが怖い…
・敬語を勉強したいと思っているけれど、何から手を付けたらいいのかわからない…
そんな方におすすめしたいのが、
『闘う敬語 ―仕事の武器になる「敬語入門」』
という本です。
この本は、よくある「場面別の使える敬語」を紹介しているものなのですが、他の似たような本とは違う点があります。
それは、
実際のビジネスの場面を想定したストーリー仕立てで敬語を学ぶことができる
という点です。
これには、
・参考書よりも頭に入りやすい、残りやすい
・読み物として楽しめるので、飽きっぽい人でも続けやすい
というメリットがあります。
また、「とにかく使える表現だけ知りたい」という方には、最後に『すぐ使える編』としてシーン別の「武器フレーズ」が用意されています。
相手を敬うだけではなく、相手に自分の意思を上手に伝えて、自分を守るための「武器」としての敬語を身につけることができる一冊です。
敬語が苦手な方も、敬語にはちょっと自信があるという方も、この本でぜひ自分の「敬語」という武器を磨いてみませんか?
読みたいけど、本は持ち運ぶとかさばるし重いから嫌だ!
スマホで通勤時間など空き時間に効率良くサクッと読みたい!
そんなアナタには電子書籍で読むことをオススメします!
↓↓電子書籍版で読みたいアナタへ↓↓
仕事で強力な武器になる敬語の使い方をマスターするならコチラ!
【1分でわかる!】お安い御用(ですよ)の意味やビジネスでの使い方と例文、また、類語についてのまとめ
いかがでしたか。
最後に、もう一度「お安い御用」についておさらいしておきましょう。
【意味】
「簡単な用事です」
【ビジネスでの使い方】
・相手からの頼まれごとを引き受けるときに使う
・「簡単なことなので、私に頼んだことを申し訳なく思わないでください」という意味を含む
・目上の人にも使えるが、親しい間柄でない場合には「かしこまりました」などの表現を使うのが無難
【類語】
・朝飯前
・造作もない
・簡単
・余裕
など
「お安い御用」はビジネスでは使う相手や使い方に注意が必要な言葉です。
しかし、上手に使えば場の空気を和らげたり、相手からの信頼を得やすくなったりします。
ぜひ、今回の記事を参考にして、頼まれごとを引き受けてみてくださいね!
【今回ご紹介した本はコチラ!】↓
『闘う敬語 ―仕事の武器になる「敬語入門」』
([原案・監修]大嶋利佳 [ストーリー]朝倉真弓 / プレジデント社)
社会を、仕事を闘うための武器、それは「敬語」!
実際のビジネスの場面を想定したストーリーで、苦手な敬語がわかる!使いこなせるようになる!
どんな時でも自分を守ってくれる武器をあなたも手に入れよう!
↓↓電子書籍版で読みたいアナタへ↓↓
仕事で強力な武器になる敬語の使い方をマスターするならコチラ!